日本の伝統的な建築は、「夏をいかに過ごし易くするか」を考え建築されてきたと言われています。
今、ヒートショックによる死亡者が交通事故死亡者数を上回っています。ヒートショックはご存じのように、暖かい所から寒い所に移動した際に起こる、血管の収縮によっておこる健康被害です。寒い冬に起こるものです。
昔は、寒さで亡くなるよりも、食中毒で夏に亡くなってしまう人が多かったことから、夏向きの建築がされていたとも聞いた事があります。庇が長く、風通りがいい、湿気がこもらない、夏の暑さの影響が無い環境造りがされたとかされないとか。
徒然草に「家の作りやうは、なつをむねとすべし」と言っているくらいです。
どこの地域にも、古い民家を郷土資料館的な形で残していて、無料で見学ができる様になっていると思います。是非、真夏の暑い日に見学に訪れて下さい。その涼しさに驚かれると思います。昔お金持ちだった豪商の家とか良いですね。最高に良い造りしています。
唐突ですが、戦後しばらくは、文化としての建築が行われていましたが、住宅不足解消するために、施工が簡素化され住宅造りが大きく変わった、鉄骨系プレハブ住宅の誕生が住宅を文化から産業にしてしまい。30年でゴミになる住宅産業時代が始まっていきます。
昭和初期に、ドイツのグロピウス(乾式組立構造)が紹介され、それが、建材の鉄骨系プレハブ建築のルーツとか。本来、乾式とあるくらいですから木製だったお物を鉄骨にしてしまったようです。良く分かりませんね。薄いグラスウールを入れて大丈夫だと思う感覚が笑えます。構造鉄ですから、夏熱くなるし、冬冷たくなります。構造に向いているとはあまり思えない。使うなら、外断熱にして構造に外部の熱の影響が少なくなる様にしないとと・・・。
アルミサッシの登場は、中途半端な密閉住宅を作り、合板床の登場によって、室内空気環境は悪くなり1990年代にシックハウス症候群や化学物質過敏症を増やすことになります。
日本の合板は、明治40年(1907)年ごろに、名古屋の浅野吉次郎さんが日本で合板を作ったと書いてありました。海外では、その30年も前からあったとか。
当時は、木工用ボンドなどありませんから、ニカワやコメノリを使って接着させていたのだと思います。それが、産業化した住宅造りでは、接着時間を短くするために、強い接着力を求め、体に悪いボンドが使われるように。土壁が石膏ボードに変わり、塗り壁(京壁、聚楽壁)がボンド入りの繊維壁に変わり、壁紙がクロス(布)から塩化ビニールクロスになり、アルミサッシ登場によって、隙間風がなくなり、換気されない密閉っ空間が、揮発性化学物質が充満する室内環境が出来上がる。
加速させたのは、バブル景気でしょうか。不動産が馬鹿みたいに売れた時期ですから、早く作って早く売る。接着剤危険濃度もどんどん上がって、密閉住宅なので室内環境が悪くなるのは当たり前。
そして、現在、なんちゃって高気密住宅は、室内環境改善にはならないので、室内空気環境を考えた内装造りが重要になる。
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